(う・・・そ・・・)



 凌哉は何かを叫んでいたが、あたしの耳にはもう




 入ってこなかった。




 耳を劈くような金属音。




 通行人の悲鳴。



 
 それらは全て、闇の中に消えていった…。






「俺がっ・・・あの時ちゃんと一緒に歩いてりゃ、梨依は・・・」





 悔やんでも悔やみきれない。




 救急車のサイレンが、嫌に耳に残った。