COLORS【透】桜、儚く散るユメ

「……お前の名は?」

私の視線をうざったく感じているのが分かった。

「桜庭……咲(さくらばさき)」

「咲……」

男は確認するように私の名前を繰り返した。

「あの──それが何か?」



「お前への手紙を預かっている」



そう言い、男はポケットから白い封筒を取り出した。

「……」

私はそれを受け取り、暫く呆然としていた。