雪がとけたら




……………


「西、煙草吸うんだ」


西の口からふぅっと吐き出る白い煙を見ながら呟いた。


「あぁ…朱音の影響」
「アカネ?」
「姉貴だよ」

とんっと灰皿にそれを押し付ける。
灰皿はアメリカンチックな可愛い絵柄が描かれていて、『朱音』の物であることが想像できた。

僕は「姉ちゃんいたんだ」と言おうとしたが、西がそれより先に口を開いた。


「で、どうなの?原田さんとは」

ぐっと腰をあげ、窓をあける。
夏の風が迷い込んできた。

「別に…普通だよ」
「戸田さんとは?」

西は窓際に腰かけて、二本目の煙草を取り出した。
「二本目からは窓際で。じゃないと部屋に臭いがつくだろ」と軽く言う。


「…別に、どうもないよ。会ってすらないし」

僕は今まで西が座っていた場所に足を伸ばす。

風が、西の座っていた温もりを少しずつ運んでいった。






…日曜日。

久々に部活も休みで、僕は西の家に行っていた。

西の家はここら辺では有名な名家らしく、門のでかさにまず圧倒された。

でも西の部屋はやっぱり西の部屋で、彼と同じ雰囲気を持っていた。

西の家は落ち着かないけど、西の部屋は落ち着く。

そんな感じ。