僕はあいつの部屋の前に立ち、軽く深呼吸をした。
あいつの部屋に来るのは久しぶりだ。
昔は躊躇いもなくそのドアを開けていたけど、今はもうそんなことできない。
僕は手を伸ばして、軽く二回ノックした。
「…悟子?」
…返事はない。
もう二回ノックしたが、返事がないので仕方なくそのドアノブに手を伸ばした。
相変わらずその部屋は小綺麗に整頓されていて、ウサギやくまのぬいぐるみが小さなソファーに集まっていた。
ただ昔と違うのは、壁にかかったセーラー服と、テーブルの上にある携帯電話。
その横に丁寧に置かれてあるファッション雑誌も、昔来た時はなかった。
…何おしゃれぶってんだよ。
僕はそのファッション雑誌を手に取り、再び元に戻した。
僕の部屋だって変わった。
携帯だって(色々な)雑誌だって、普通に部屋と一体化している。
あいつの部屋が変わっていても、何も不思議じゃない。
…ただ、一抹の寂しさはどうしても拭えないだけで。
昔とは違う。
僕も、あいつも。



