……………
「雪ちゃん!」
廊下であいつの声がした。
振り返ると、ジャージ姿のあいつが手をふっている。
たたっと走り、僕の前まで来た。
「今から体育?」
「あぁ…うん。」
僕が持っている体育館シューズを目にして、あいつは言った。
「あたしも今体育だった。入れ違いなんだね。バスケやってきたよ!」
へへっと笑うあいつの頬は、運動したのがわかるくらい火照っていた。
緩くふたつに結んだ髪の毛がぴょこんとはねている。
…ヤバ、可愛い。
「西君、バスケ上手そうだよね。バスケ部入らなかったの?」
あいつは僕から目線を上げて言った。
僕の隣にいた西は、足を軽く交差させ少し屈んで言う。
「戸田さん、それは最もありきたりな偏見だよ」
「そうなの?」
ふふっと笑うあいつ。
西もニコッと微笑んだ。
「ほら、遅れるから」
僕は西のシューズを軽く蹴って急かす。
「じゃあな」
あいつは先を行く僕に手をふって言った。
「頑張ってね!」



