雪がとけたら




……………


「雪ちゃん、はようせんね。さっちゃん待っちょってじゃあね」


下からおばあちゃんの声が呼んだ。

「今降りるって!」

僕は鏡の前に立ったまま叫ぶ。

学ランっていうのは、どうしてこう着にくいのだろう。

僕は鏡の前で、一番上のホックをつけたり外したりを繰り返していた。

入学式くらいはちゃんと制服を着るべきなのだろうけど、どうもこのホックは首元に違和感を与える。


「雪ちゃん!」
「あ~もうっ、今行くって!」

急かすように呼ぶおばあちゃんの声がして、僕はホックを外したまま部屋を出た。

階段を駆け降りながら、僕は結局第一ボタンまで外していた。









…「じゃあ、ばぁは後から美弥ちゃん達と行くけぇね」
「うん、おばさん達によろしく」

スニーカーをトンッと履きながら、僕は言った。

「じゃ、行ってきます」
「はい、頑張りぃね」

僕の肩をぽんっと押し、おばあちゃんは笑顔で僕を見送った。

僕も笑顔を返し、玄関を駆け出る。









…玄関先には、あいつがいた。