「眠ってるよ。過労と貧血…だと、先生はおっしゃった」
不謹慎ながら、僕はほっと胸を撫で下ろした。
何か病気だったらどうしようと本気で考えていたからだ。
「少し…いいですか?顔見たら帰るんで…」
おじさんは快く了承してくれて、僕は軽く頭を下げる。
おばさんの病状も気になったが、これ以上今のおじさんに心労を与えたくなかったので聞かない事にした。
…僕はそっと病室のドアノブをひねる。
一応それなりに顔を知られているので、あいつは個室を与えられていた。
カーテンに遮られた向こう側に、あいつの影が見える。
僕は足音をたてないように気を付けながら、カーテンをゆっくりひいた。
…まるで人形の様に、あいつはベッドにそっと横たわっていた。
次第に心臓が速くなるのがわかる。
…痩せた。
雑誌やテレビで見るとそんなにわからなかったが、直接見るあいつは随分痩せた様に思う。
病的に痩せたわけではないけれど、顎の辺りが随分細くなり、鎖骨が前よりくっきりと浮かび上がっている。
点滴の針が刺さっている腕は、軽々しく掴めない程に細く、白かった。



