同じ事を繰り返している様で、本当は少しずつ変わってる。
西の恋も、きっと少しずつ変わっていくだろう。
それがプラスであれマイナスであれ、進んでいることに変わりはない。
もし同じ所に戻ってきたとしても、その一周には何らかの意味があるのだ。
「…いちゃつくだけじゃないか。やるな、観覧車」
僕は、夕日を背にそびえ立つ観覧車に呟いた。
沢山の想いを乗せながら、観覧車は静かにゆっくりと回り続けていた。
…その日の帰り道、西は久しぶりの煙草を買った。
前より少しだけ上がったタール値。
ふうっと煙を吐きながら「苦」と呟く。
僕は何故だか、その一言が記憶に焼き付いた。
…想いの分だけ、苦い煙草。
これ以上タール値が上がることのない様、願った。
……………



