雪がとけたら




……………


「あっはははっ!中川お前弱すぎだろっ」


…小一時間前までのやる気のなさはどこへやら。

西はベンチでへばる僕を見て爆笑していた。


「いや…俺が弱いとかじゃなくて、お前が絶叫強すぎなんだよ」

ペットボトルの水を飲みながら呟く。

「あれくらい普通だよ」と言うけど、ジェットコースター連続七回は、そんなに普通じゃないと思う。


「ほら、立てよ!中川が誘ったんだろ~」

まだぐったりしてる僕の腕を掴み無理矢理立たせる西。

西がこんなに絶叫好きだとわかっていたら、遊園地なんて誘わなかった。


「よっしゃ!次は…」
「待て、次は絶叫だけは勘弁」


ニコニコと水系のジェットコースターを見ていた西を急いで止めて、僕は必死に周りを見渡す。

ふと目についたのは、明らかに他とは違う雰囲気を持った小屋。


「あれ、あれ行こう西!お化け屋敷!」


それなら気分が悪くなることもないし、涼しいから逆に気分も良くなるだろう。

僕は西の腕を掴んだが、西はその場を動こうとしない。


「西?」


振り返って西を見る。

さっきまでの嬉々とした表情とはうって変わって、青ざめた表情の西。