「…でも、今口に出してみて思ったの。あぁ…言葉にすると、こんなに楽なんだなって。それは多分…あたしの罪を、雪ちゃんも抱えてくれてるから。誰にでも言えることじゃないけど、雪ちゃんになら言えるって思ったの」
あいつがそっと僕の方を向いた。
「西君も、消えない罪を抱えてるんだと思う。誰にも言わずにいたのは…自分一人で、抱えなきゃいけないって思ってるからなんじゃないかな。でも…それって、凄く苦しいよ」
…消えない罪の意識。
西はそれを、たった一人で抱えてるんだ。
誰にも言わず一人苦しむことが、まるで罰であるかの様に。
「何にもできなくてもさ、話を聞いてあげることはできると思う。そうすることで、少しは楽になれるんじゃないかな」
「西君は楽になりたいなんて思ってないかもしれないけど…」と呟き、あいつは続けた。
「それでも西君は、雪ちゃんになら吐き出せると思うよ。だって、親友でしょ?」
…親友。
「役目がいっぱいで大変だね」とあいつが呟いて微笑んだ。
僕もふっと笑って言った。
「それだけ、大切な人がいるってことなんだけどね」



