雪がとけたら




……………


「うわぁ~、こりゃくるぞ」


部屋の窓から外を覗き、一久は何故か嬉しそうに呟いた。

窓の外の木々は、強い風に耐えきれず頭をふりかぶる様に揺れている。

窓はカタカタと小さく音をたて、隙間からピュウと細い音が侵入した。


「もー久ぁ、カーテン閉めてよ!」
「お前まだ台風苦手なのかよ」
「嫌なの、嫌いなのっ!あんな風にさらされたら飛んでっちゃうよ」
「いやぁ、ナァはそうそう飛ばされねぇだろ」
「ちょっとそれどういう意味よぉ!?」

立ち上がり一久の膝を蹴るナァを見て、西はははっと可笑しそうに笑った。

がさごそと鞄を漁りながら、僕はカーテンの隙間から外を覗き見る。



…蒸し暑くなる直前の季節。


例年の如く、今年も台風が接近していた。


おんぼろ寮が崩れやしないかと不安にもなるが、明日の学校が休みになったことは素直に嬉しい。


だからこそ今、こうして必死に鞄を漁っているわけだけど。



「つかナァ、俺の部屋に入りたびりすぎ」
「いいでしょー別に!ねぇ西君」
「西君目当てなのバレバレだっつの」
「うっさいなぁ、久目当てじゃないからって」
「はぁ!?どの口が言うよ」