「今日は色々とありがとうございました」

午後9時。

遅くまでゆかりを引き止めてしまった。

ゆかりは玄関でパパとママに頭を下げると

「こちらこそ遅くまでごめんね」

ママも頭を下げた。

「またいつでも来てね!」

その言葉にゆかりは笑顔で頷いた。

「気をつけて帰ってね」

パパも声を掛けるとゆかりは少し切なそうに頷く。

「…泰樹、送ってあげて」

「うん」

僕が玄関のドアを開けた瞬間、パパはゆかりに何かを言った。

ゆかりは何度も頷くと名残惜しそうに玄関の外へ出る。



そして僕達は夏の夜道を歩き始めた。