「でもね」

泰樹は柔らかく笑った。

「すごーく照れ屋さんでお礼に歌ったら顔が真っ赤だった」

おお、それそれ!

俺、見てたよ!!

「…それを見て付き合おうって言ったんだ、可愛いなって思った」

サラリ、と言ってのける泰樹は…かっこよかった。

「知樹はどうすんの?」

桜が俺の首を絞めに掛かった。

「…俺は言わない」

「えー…」

桜だけじゃない。

泰樹もパパもママも。

残念そうにしている。

「ただいまー」

そこへ友達と出掛けていたむっちゃんが帰って来て話はあやふやになった。

正直、ホッとしたのと同時に泣きそうになった。

三つ子の中で俺だけだよ。

彼氏彼女がいないのは…