「じゃあ…あたしだけの歌、作ってよ。
そんなに独占したいなら、あたしを縛りつける歌を…」

試すかのように僕を見つめる。

「いいよ、そんなの、お安いご用だよ」

そう言って僕はゆかりの手を握りしめた。

ゆかりも手に力を込める。



高校は離れても。

この手は絶対に離すものか…



その瞬間、風が髪をなびかせる。

春の空気を含んだ風が僕達を擦り抜けていった。