「でも」

ゆかりは僕の手を取って見つめる。

「あたしは鍛えられた筋肉よりもこの繊細な手が好きだな」

自分で言うのも何だけど、手のモデルになれるんじゃないかっていうくらい、すらっとした指をしている。

「泰樹の感性もあたしは好きだから。
そういう所はここにいる誰にも負けないでしょ?」

こんな事を突然言い出すゆかりには本当に参るよ。

「どうもありがとう」

そう言うとゆかりは満足そうに笑っていた。