「…何の力にもなれないって事はないですよ」

智道くんが顔を上げて微笑む。

「そんな風に言って貰えるだけで認めて貰っているって思えますから。
…僕の親じゃ絶対にない」

智道くんは苦笑いを続けた。

「…だからもし、何かあった時は力を貸してください」

お願いします、と智道くんは頭を下げた。

「もちろん」

ママは即答だった。

「力になれるかどうかはわからないけれど、協力するわよ」

ママが微笑むと智道くんも微笑む。



その瞬間、テーブルの反対側で話をしていたむっちゃんが爆笑する。

その笑い声にこちらの会話は掻き消されてしまった。