「全く…教師は数字を上げる事に必死だよな」

家に帰ると知樹は呆れ返っていた。

「行きたくない高校に行けというのが間違いだ」

頭をクシャクシャ、と掻き上げてパタリ、と知樹は大の字になって寝転んだ。

「…やりたい事があるからそれに合う、また自分の意志に合う進路を選ぶんだ。
頭が良いから学力レベルの高い高校、大学へ。
じゃあ自分の意志は?」

知樹の目が、一瞬パパに見えた。

ゾクッとする。

「確かに今の年齢で将来何がやりたいか、なんてわからない人が多いと思うけど…でも、学校が決める、じゃなくて自分が決めないと」

ギュッと握りしめた知樹の手が震えた。