「桜はいいなあ…」

知樹が私の部屋に来てため息をつく。

「運が悪いね」

思わずそう言った。

相手が羽曳野 マリナとは。

超お嬢様。

知樹には不釣り合い。

…っていっても知樹にしてみれば迷惑窮まりない。

「あっ…」

携帯が鳴った。

「智道?」

私は頷く。

昨日、長年好きだった1歳年上の池田 智道くんと付き合う事になった。

知樹がかなり協力してくれたから頭が上がらない。

「今度3人でお茶でもしようって」

メールの内容を知樹に伝えると、ハイハイ、と心ここにあらず、みたいな返事をした。

…確かに。

あの羽曳野さんは。

私も嫌だから。

生活環境も何もかも、ウチとは正反対なんだもん。