「あの、良かったら!!」

そう言って差し出されたのは甘い香りがするラッピングされた袋だった。

顔を真っ赤にしたその女の子はこの辺りでは有名な金持ちの娘。

小学校も一緒だった。

中学は私立に行くと思っていたのに、何故か公立のこの中学に来た。



俺は戸惑った。

コレ、出来たら受け取りたくないんだけど…

周りの建物から見つめられる鋭い視線が痛い。



その視線は常に彼女の周りにいる女子のものだ。

ここで断れば、俺はこの視線に撲殺される。



「…ありがとう」

受け取ると周りから歓声が上がった。