「………あ。

健たちのこと忘れてた」


「あっ!!」


桜音も俺の言葉で思い出したのか、そんな声を出し。


「どうしよ…梨沙ちゃん、怒ってるかな…?」


と、心配し始めた。


「どうする?

体調わりぃならこのまま送ってくけど」


あいつらには連絡しとくし、と付け加えた俺の言葉を聞いて
桜音は速攻で否定の言葉を返す。


「ううん!
行く!

ここまで来たんだし…」


「無理しなくていいんだぜ?」


俺の言葉に、桜音はぶんぶんと首を振って

「もうぜんぜん平気!!」

と言った。


その様子を見る限り、もう本当に体調はよくなったようだ。


「分かった。

よし、じゃあそこで待っとけ」


俺の言葉に心配そうに見つめてくる。


1人が怖いのか…?
可愛い奴。


「大丈夫。
自転車取って来るだけだから」


ポンと頭をなでてそういうと、桜音はパァっと明るい顔になる。


「分かったっ!」

その顔をみて、俺は自分の放置された自転車を取りに向かった。


あーあ。

すっげー置き方。


と言うのも、桜音を支えるために咄嗟に自転車から手を離したため。

よーするに自業自得、か。


俺は倒れた自転車を起こすと、自転車には乗らず
そのままひいて桜音の所まで戻った。