「……葉月?」


伊吹が私をジィーッと見る。




「先生……逢いたかった」


私は伊吹にギュッと抱き付いた。




「えっ!……はっ、葉月?」


混乱したように目を泳がせる伊吹。




「……先生、私ね」


「ん?」


「私……」


「どした?」


「……やっぱり、なんでもないです」




私は小さくそう呟いて、伊吹から離れた。


……伊吹に言おうと思った。




「……なんだ?変なヤツだなあ」


そう言ってニコッと笑う伊吹。




……でもやっぱり言えなかった。