「俺は校内の見回りだ」


伊吹は二カッと爽やかな笑顔を浮かべて言った。



「……そうですか」


私は頬杖を付いた。




「で、葉月はなにやってんだ?もう帰る時刻だろ?」


伊吹はそう言うと、首を傾げた。




「……いえ。なんでもないです」


なぜだか今日は、伊吹と話してても全然悪い気がしない。




「ところで……最近成績下がり気味だな、お前」


伊吹がボソッと呟いた。




「成績下がるなんてお前にしては珍しいな。……なんかあったのか?」


伊吹が私をジッと見つめる。




「……いえ、なんでもないです。ちょっと集中力が切れてるだけです」