暑い・・・
ほろ苦い思い出と共に
缶に唇をあてがう。
「ぐぇー。
やっぱ苦いな。」
思わず顔をしかめて
手の中の缶コーヒーを
恨めしく眺める。
「ちょうどよかった。
これと、換えてくれない?」
背後から、
クスッと笑う声がする。
ちょっとムッとして
振り返れば
「あ……」
おかしそうに笑う
あなたがいた。
「そこで、慌ててね。
ボタン間違えたんだ。
交換して?」
呆然とする俺の手から
するっとコーヒーが抜かれ
冷えたパッケージが
差し込まれる。
淡い桃色のソレは
俺の想いに
奇しくもピッタリで。
「イチゴオーレって……」
流石の俺も、恥ずかしい。
「流石に甘すぎ。」
戸惑いとも、苦笑とも、
言えない表情を、
彼女にむけた。
「ふふっ。
そりゃ、そうか。
まあ、ぎこちないながらも
キミに笑顔が戻って
安心したよ。」
彼女は笑う。



