話すことすら、できない俺を
見限った様に
甲高い金属音を立て
ホームに電車が滑りこむ。
それほど大きな駅ではない、ここは、一本逃せば、割と、次まで時間が空いてしまう。
なのに
あなたは、電車を見送った。
「のまない?」
ベンチに無理矢理座らされ
俯いて言葉を飲む俺に
自販機で買った
アイスコーヒーをさしだす。
『…ありがとうございます…』
それしか、言葉が
口をつかない。
口を開けば
泣き出してしまいそうだった。
それほど
混乱していた。
晴れた空を見上げ
二人で、無言で飲んだ
アイスコーヒーは
俺には、やっぱ苦くて。
「じゃあ、私は、これで。」
何も問わず、何も言わず、
彼女は、出勤するため
電車に乗ってしまった。
ゆっくり閉まる扉に向かい
俺は、ただ、無言で
頭を下げるしかなくて
ーーーーガキな自分を
悔しく思ったーーーー



