『あの。
ちょっとだけ、俺に
時間くれませんか?』
たまらず
あなたを呼び止めたのは
梅雨が、もうすぐ
明けようという時節
人生最悪日の翌々日
豪雨の名残が、所々に
水溜まりとなって残る。
キラキラと反射している
青く晴れた空は
俺の気持ちと、ほど遠く
次の季節に向かっている。
親友の死も、恋も、
何かもが、苦しかった。
雨で冷えた体を
シャワーで温めて
何度も寝返りをうち、
どうしようもない夜を
何度か越えたけど。
苦しいばかりで。
一つでも
楽になりたくて
始発と共に
一昨日の駅にいった。
あなたに借りた
傘をもって



