俺は、最初から
就職に決めていた。


やりたい事がないとか
偉そうなお決まりの台詞は

吐くつもりはない。


うだるような梅雨の、とある日
当然、大人の前では
そんな事も言ったけど。



……本当は、ただ

早くオトナになりたかった。


オトナのオトコとして
認められたかっただけ。





何故?





そんなの簡単だ。






好きになった人が









オトナのオンナだったから。





見合うオトコになって
あの人に、認められたいって。



実に、ガキな理由から。





あの時、俺は、
オトナの色香のあるオンナを
本気で口説こうとしていた。