「あの…。私、何にも出来ないけど…そんなに哀しい顔、しないで下さい。」
「え…?」
気付けばドロップは答えではなく、そう口にしていた。
それを聴いたレイは哀しい顔を驚きの顔に変えた。
「私、絶対皆を笑顔にしてみせるから…だから…。」
ドロップは必死だった。
今はそれしか言えない。
まだ答えも見つけていない。
それでも。
もう哀しい顔は増やしたくなかった。
それがドロップの願いだった。
「そう…ね。」
レイはドロップの言葉に笑顔を見せた。
レイも哀しい夢に囚われていた。
初めて過去を夢に見た時、力を持った。
力を持ったと同時に、夢は現実だと知った。
けれど¨雨〈ムフラ〉¨の力では何も出来ない。
レイはリムと同じようにもう哀しい過去を繰り返したくないと願っていたのに、ドロップ達の目指す場所が¨約束の場所¨だと思い、焦っていた。
けれど…。
ドロップとノアは違う。
彼女の想いは目には見えないけれど、ノアのものより強い。
彼女ならきっと乗り越えられる。
そう思える。
だから、レイはドロップに願いを託す事に決めた。
「解ったわ。ドロップ、私、あなたを信じてみる。」
そう言い切ったレイは笑顔だった。


