朝。
ドロップは優しい光の中で目を覚ました。
珍しく夢も覚えていない。
いつもなら夢を見て少し哀しくなるのに。
それどころか今日の夢は優しい夢だったような気さえした。
この木の部屋はザムが本当に彼女の事を想って作った部屋だった。
「よく眠れた?」
部屋を出て行くと、レイがニコニコと出迎えてくれた。
「はい。」
よく見ると、イオンが奥のキッチンに立ち、朝食を用意していた。
リムが作る料理と同じで美味しそうな匂いがした。
「イオンの料理は美味しいのよ。」
ドロップの視線にレイは嬉しそうに付け足した。
「おはようございます。」
その声に振り返るとフォールとリムの顔があった。
「おはよう。よく眠れたかしら?ご飯にしましょ。」
レイはフォールとリムに笑顔を送り、支度を始めた。
それは、昨日まで追われていたのが不思議なほど、久しぶりにのんびりとした朝だった。


