空き教室。
龍生は美音の手を
引っ張って中に入り、
中から鍵をかけた。
「…龍生のバカ。
あんな目立つ事したら
一発でバレちゃうのに…。」
「そうせずには
居られなかったんだよ。
…悪いか?」
「ううん、
嬉しかった…。
でも、何で小早川くんが
あたしにキスした事
知ってるの?」
「速水に訊いたんだ。」
「愛ちゃん…?
何でそこで愛ちゃんが
出てくるの?」
「あいつら、グルだったらしい。
お前とあいつを
倉庫で二人きりにして
閉じ込めたのも
速水だって…。」
「ええっ、何?それ。」
「つまり、
小早川はお前が好きで、
速水は俺が好きだから、
2人で組んで
チャンスを
作ろうとしたんだ。」
「そんな…
愛ちゃんが!?」
信じられなかった。
今まで仲良くしてくれていた友人が、
あっさり裏切った事。
美音はこの日、
大事な友人を1人失った。