夜。
両親が帰ってきた。
父親の龍貴は、
小さな会社の社長。
でも全然偉そうにもしないし、
子供たちにも優しいので、
美音は気に入っていた。
母親の美雨は、
孤児の為の施設を
営んでいる元保育士。
仕事で帰ってくる
時間が遅いが、
今日は違う。
そう、今日は双子の
16歳の誕生日だから。
「おかえりなさい、
パパ。ママ。」
「ただいま、龍生、美音。」
「ただいま。
すぐ食事の支度
するからね。」
「あたし手伝うよ。」
「あら、珍しいわね。」
「え、そうかなぁ?」
「そうよぉ。
いつも漫画ばっかり
読んでて
手伝いなんか
しないじゃないのよ。」
「えへへ、そうだっけ?」
美音が頭を掻く。
皆が笑った。