その時だ。
「…誰?」
いつもと違う声がした。
思わず顔を上げる。
そこには、縁側に座る
見知らぬ男の子が居た。
「あの、隣の家の者ですけど…
ボール、飛んできてませんか?」
男の子は、足元に転がる
ボールを見て言った。
「あぁ、これ君のなのか。
はい、どうぞ。」
男の子はサッカーボールを
美音に手渡し、微笑んだ。
「ありがとう…。」
「どういたしまして。
気を付けてね。」
「はぁい。」
少年が誰なのか
チラッと気になったが
美音はそれ以上
考えるのを止めて
庭に戻った。