苛立ち(いらだち)の花びら

僕はギタリスト

彼女はボーカルだった

出会った場所は

とあるライブ会場

「下手なんですけど

一生懸命歌うので

聞いてください」

こんな挨拶

プロとして完全に失格なのだが

僕はその時

不思議とその感情がなかった

彼女はその言葉通り

懸命に歌った

言っていた通り

歌はヘタだった

けど

それ以上に

真っ直ぐな瞳と

ゆるぎないパワーに圧倒され

僕は

いつしか

彼女に目が向く様になった