リルチェッタによると、俺が樹海から連れ帰った狼の名は『ライガン』というらしい。

何でも、ライガン本人がそう名乗ったとの事。

生憎と俺には狼の言葉はわからないし、リルチェッタの言う世迷言を信じる気にもなれない。

彼女は思いの他、妄想の激しい女なのかもしれない。

ともかく、ライガンの世話はリルチェッタに一任した。

俺の手で手酷く鞭打たれ、一時は瀕死の状態だったライガン。

しかしリルチェッタやクレオの治療が良かったのだろうか。

次第に傷は回復し、今では自分で餌を食えるまでになった。

あの体躯に見合うだけの生命力は持ち合わせていたという事らしい。