ある日の夕食。

一人で食事をとるには不相応なほどの大きなテーブルに並ぶ、数々の料理。

食器の音だけがごく静かに響く、静まり返った食卓。

メイドのリルチェッタがスープを皿に注ぎ、その横ではクレオが肉料理を切り分けている。

「……」

俺はナプキンで口を軽く拭い、フォークとナイフを置いてワイングラスを差し出す。

すぐにクレオがワインボトルを手にして、グラスに真紅の液体を注いだ。

俺はその液体を、グラスの中で軽く回転させ、色彩をまず楽しむ。

その後、グラスを鼻に近づけて芳醇な香りを堪能する。

最後にグラスの液体を一口含み、口をすぼめて空気を吸い込む。

口中で液体と空気を混ぜるように、音を立てて吸い込み…。

「不味い」

一言呟いた。