一歩進めば二歩下がる。

左様な調子で埒のあかない私は、その時までに得られた情報を福笑いのように、散らばせては整え直し、また、散らばせては整え直して、まったく私にとって都合のよい憶測、思い上がりな妄想を膨らましておりました。


その時の私の心境はまさしく波のようであり、しようのない自信と、それと同じくらい、しようのない否定とが満ちては引いてを繰り返し、私はつくづく小物で臆病で、弱者であることを痛感した次第であります。

しかしながら、


私の独りよがりな都合の良い妄想、思いあがりな憶測、は、一つの、確かな、的を得た真実であることを、
私はこの後知るのです。