「兼ねてから、いかがわしい講義を開いては、その立ち振る舞いが問題視されておった。」

「最近では、密かに会合を開き、国家叛逆の算段を企てている疑いがある。」

「そもそも哲学者なんぞは御国のために五体を使わず、瘋癲に違わない穀潰しなのだ。」

「ましてあろうことか、この瘋癲は穀潰しに止どまらず、偉大なる天皇国に甚大な被害を与えようとしていると言うのだから…」

「まったくもって…」



そうです、先生。



「けしからん。」



巡査部長が槍玉に挙げている人物こそ、先生、あなただったのです。


「しかし、この男が中々尻尾を出さんのだ。」

「小金井巡査!」

「はっ!」

「貴様、山口文殊の身辺及び、周囲を徹底的に調査しろ。」

「はっ!身体を捧げて尽力を尽くします!」

「天皇陛下、万歳!」

「天皇陛下、万歳。」

こうして私は、先生の身辺を調べることとなったのでした。