空白の玉座




遠ざかるかと思った足音が不意に近づいた瞬間、手首を掴まれた。

「…っ、痛いわ。放して、ジェイス」

「……」

「放して」とアメリアが繰り返すと、さらに力が加わる。
思わず、その力にアメリアは顔を歪めた。

「ジェイス…」

「放さない……俺は、」

声と重なって、扉がノックされる音がした。

「王妃様?言われたものをご準備しました」

侍女のリィサが顔を出した時、入れ替わるように扉との隙間をジェイスが走り出ていった。