注意深くドアを開けると、寝室よりも広めのそこは大きなテーブルなどが置かれ、綺麗な調度品に飾られた部屋だった。

初めて見る部屋をルシアはぐるりと見渡す。

大きな明り取り用の窓がある部屋は寝室よりも開放感を感じた。

出入り口は1つ。

彫刻の施された木の扉にそっと近付く。


「くれぐれもノイン様を部屋に入れぬように…」


クラリスよりもさらに低めの男の声がした。

「はっ!」とそれに頷く男の声が聞こえる。
ドアの外には見張りがいるのだ。

込み上げてくる涙を堪えて、ルシアはテラスの方へと足を向けた。