空白の玉座



クラリスの冷たい瞳が妖しげな光を放つ。
クッと喉にかかった笑いを漏らした。

「続きを言ってみろ、どうすると思う?」

そう言われても咄嗟に言葉を繋ぐことはルシアにはできなかった。


―――国王暗殺


目の前の男は自分にそれをやらそうとしている。
背筋が思わず震えた。

「おまえに選択権はない、今ここで死ぬか王を殺すかだ」

男の声が妙に耳に響く。

押し当てられた冷たい刃先が震える体に現実を突き付ける。

クラリスの腕が動いて剣を高くかざした。
ヒュッと風を切る音にルシアは体を竦めた。


―――――助けて!!!