名前を呼ばれて、親衛隊の集まる広場に戻ろうとしていたジェイスは足を止めた。
「あの、…」
言いかけた言葉を止めて辺りを気にするアメリアにジェイスは柔らかく微笑んだ。
「不安にさせましたか?」
真正面から大きく開かれたエメラルドグリーンの瞳をジェイスは見つめた。
「あなたが不安になることは何もない。たとえ相手が国王でも、あなたを最後まで守ってみせますよ」
「…頼もしいわね」
「昔みたいに泣かないんですね」
アメリアは驚いたように何度か瞬きすると、眉を寄せた。
「もう、いつの話よ」
「離宮の庭でよく泣いてたじゃないですか」
「あなただってっ、ゴルドアに怒られてすねてたじゃない」
「初めて会ったあの時一回だけです。後はあなたを慰めるのに大変で…」
「そ、そんなに泣いてないわっ」
恥ずかしそうに頬を桃色に染めるアメリアに、ジェイスが笑いを漏らす。
それにつられて思わずアメリアも笑った。