ジェイスはアメリアの耳元に顔を寄せると声を潜めるように囁いた。

「あの男には気を付けてください。アーレス王子の死で気になることがある」

アメリアがハッとしたように顔を上げた。

「彼は王子の中でも戦慣れしていた。退却の際に流れ矢に当たるのは不自然だ」

「まさか、…」

ジェイスがそっとアメリアの唇に人差し指を添えて言葉を遮った。

姫、と後ろから声がしてアメリアが振り返る。
すぐ側にガイが立っていた。

「この後お時間があるならうちの屋敷でお茶でもいかがですか?父も姫に会いたがってましたから」

「いつもお父上の代わりに出席ご苦労さまです、ガイ様」

2人の間に立って言うと、さも今ジェイスの存在に気づいたように、ガイが、あぁ!と呟いた。