「必要ないでしょう、この場の決定権は彼女にある」

クラリスの鋭い視線を受けるガイに助け船を出すように、コーアンが口を開いた。

「王妃様は国王と同じように独立した議決権をお持ちです。王妃様、これでよろしいですかな?」

アメリアはチラリとクラリスを見ると、はっきりとした口調で答えた。

「…いいわ」

その言葉にコーアンが話を引き継ぐ。

すべてが終わって戻ってきたアメリアはジェイスの横で小さく溜め息を吐いた。

「疲れましたか?」

ジェイスの笑顔に張り詰めていた気が緩む。

「…クラリス王子がなにかいつもと違う気がして、少し怖かったわ」

アメリアはジェイスの服の裾を掴むと彼の肩に頭をもたげた。

「絡んでくるのはいつものことだけど…」

言い知れぬ不安をどう表現していいかわからずに、
アメリアは言葉を詰まらせた。