それぞれが席に着いたところで粛々と領主による現状の報告がなされる。

疫病は貧困層の多い農村部にかけて拡がりをみせているようで、都市部にはさほど被害はないようだったが、
雨期を迎える前の植え付けの時期に人出が少なくなったせいで野菜の生育状況が芳しくない。

そのせいで食物の値段が高騰しているとのことだった。

「国庫を一時的に開放してはどうですか?」

斜め前の宰相を見ると、彼が答える前に向かいに座ったクラリスが口を開いた。

「…王妃は現状をまったく把握してないな。収穫量の減少が予想されるのに、そんなことをすれば国が傾く」

「…なら各家から食糧を少しずつ提供してもらい、貧困地区に配給という形で還元してはどうかしら?」

アメリアは席に着いたそれぞれの貴族達の顔を見回した。