空白の玉座




定刻どおりに着いたアメリアたちを領主が迎えた。

中に入れないジェイスたちを置いてアメリアだけが邸宅へと招きいれられる。

白い壁に綺麗な絵画が丁寧に配置された廊下を通り、庭に面した回廊へ出た。

所々に萎れた花を見つけて、アメリアは足を止めた。
それに気づいた領主も足を止める。

「お恥ずかしい、庭師が病にやられたもので、見習いの者ではなかなか手入れが行き届かないのです」

まぁ、とアメリアは眉を下げる。

疫病が確実に王都の間近まで迫ってきている事を感じてアメリアは身震いした。


通された広間には、大きなテーブルに用意された簡単なもてなしの料理、
それを囲むように置かれた沢山の数の椅子にすでに何人かが座っていた。

アメリアに気付いた手前の男が腰を上げる。