それでは、と残して早々に女官たちは辞去する。それに合わせてゲイツも退出した。

広い部屋にはクラリスとルシアだけが残された。

グラスをテーブルに置いて、再びクラリスは椅子に体を預ける。

「こっちへこい」

静かな室内に響いた声に、ルシアの体がビクンと跳ねる。
膝がガクガク震えているのが遠目に見てもわかった。

動く気配のないルシアを、早くしろ、と急かす。

恐る恐る近寄ってきた少女の腕を掴んで引き寄せた。
俯いていた顔を、顎を掴んで乱暴に持ち上げる。

「ガキかと思ってたが、悪くない」

「…あ、あなたは誰?」

恐怖に揺れるアイスブルーの瞳を見返しながらクラリスは立ち上がった。
小柄な少女は自分の肩くらいまでの背丈しかない。

折れそうなほどに細い手首を引いて寝台に向かって歩き始めると、ルシアは必死に抵抗した。

引き摺るようにして連れてくると乱暴にルシアの体を寝台の上に投げた。