朝から手の込んだ料理がテーブルの上に並んでいた。



「よく眠れなかった?」



雪哉は目の前に並べられた料理を見て聞いた。



これだけ作ったら時間がかかっただろうに。



「ううん ぐっすり眠ったよ?でも昨日のゆきちゃんの告白に興奮していたみたい パチッと目が覚めちゃったの」



「本当に?」



自分がぐっすり眠っている間にうなされて起きてしまったのではないだろうか?と勘ぐる。



「うん 本当だよ?今ね?すっごく幸せなの」



お味噌汁をお椀によそい雪哉に手渡す。



「俺も幸せだよ こんなに料理がうまい子を奥さんに出来るんだからね」



「上手じゃないよ?お料理は好きだけど」



褒められ過ぎて恥ずかしくなる。



ゆっくり朝食の時間を楽しみ、食器洗い機に洗い物を並べていると雪哉が側に来た。



「杏梨、これから刑事がくるんだ」



話しずらそうだった。



「うん 大丈夫 ちゃんと話せるから あ、ゆきちゃん 琴美さんの事聞いてる?」



罠にかけたのは琴美だが助けてくれたのも琴美だ。



杏梨は琴美を心配していた。



「あの後、病院で手当をしてから警察署へ行ったと志岐島が言っていたよ」



「……そうなんだ……あの男は……死んでいないよね?」



あの男が死ねば琴美が殺人犯になってしまう。



「あれぐらいでは死なないよ 病院に入院している」



それを聞いて杏梨は安堵した。