「あーぁ…すっかり暗くなっちゃった」 その日、あたしは部活が長引いて帰りが遅くなっていた。 日の長い夏とはいえ、辺りはもう真っ暗。 「そうそう、壱守先生に電話しとかなきゃ」 この春、あたしは晴れて高校生になった。 そしてそれと同時に、 生まれてから今まで暮らしてきた壱守学園(イチモリガクエン)を去った。 壱守学園。 町の小さな孤児院。 あたしはそこで育った。