「ご褒美、何が良いか」


ご褒美……欲しい物なんて無いよ。

先生と居られるんなら。

それだけで大満足なんだよ。


「先生、お誕生日祝わせて」


あまりにも自然に出てきた言葉に、自分でもびっくりした。


「それじゃ、ご褒美じゃないだろ~~」


前を見ながら苦笑して言う先生。

私にとっては、充分ご褒美なんだよ…


「じゃあ、先生の時間を下さい」


私ってこんな事サラッと言える子だったっけ?!

自分の口から、こんなに積極的な言葉が出てくるなんて変な感じだよ。

ちょうど信号で止まった車の中で、静かな時間が流れた。


何でこんな事を言ったのか……



少し後悔。



静寂を破ったのは、先生だった。

「分かった、存分に誕生日を祝ってもらおうかな」

私が先生を見ると、優しい笑顔で私を見ていた。



―――ドキン


心臓が大きく鳴った。