帰ろうとする西村さんを引き止めた。
1つだけ聞きたかったのだ。

「何で真咲先生の家を見てたの?」

「えっ?好きだからですけど……」

当たり前の様に答える西村さん。

「毎日見てるの?」

「毎日じゃないですけど、時間がある時は行ってます」

「そうなんだ」


西村さんは私の言葉が終わるや否や、クルリと方向を変えて帰って行った。

多分、真咲先生と関わり無いことを知って、全く興味が無くなったのだろう。

分かりやすい人だ。


「ストーカー第一歩ね」

柚子は冷静に分析していた。
私も柚子の意見に同意した。

「そうね…」

かなり凹み気味の私に

「授業サボるよ!!」

と、私を連れて行く柚子。

「ちょっと、どこ行くの?!」

「図書室で作戦会議」

そう言うと、ダッシュで図書室に向かった。

私は大学受験しないから良いけど、柚子は来月センター試験でしょ?!

「柚子、サボって大丈夫?!」

すると、私の方を振り返りながら

「大丈夫大丈夫。毎日勉強してるし、授業なんか知ってる事しかやらないから」

って、なんて頼もしいんだろう。

頭が良い人は違うなぁ~と、またもや柚子を尊敬してしまう。