「純那が大切すぎるから」

そう言うと先生は、ベットから立ち上がった。

「我慢できる自信が無いから、今日は帰るな」

コートを手に取り、私の方を向いて笑顔を見せた先生はクルリと方向を変えてドアの方に向かった。


「待って!!!」


気が付いたら叫んでいる私。
先生は、後ろを向いたまま止まった。


「と…泊まっていってよ」


何を言ってるんだろう?


先生と離れるのがイヤだったんだ。
今日位、一緒に居させて欲しい。

そんな願いは、ワガママですか?


「何いってる……んだ…」


そんな先生を、後ろから抱きしめていた。


「もう……離れないで」


私の本心。

先生を困らせるとか、分かっているけど。
今まで我慢していた気持ちが、一気に溢れ出していった。


「純那」


「一緒に居るだけで良いから、側に居て欲しいの」


まるでドラマのような台詞が、どんどんと口から出てくる。

でも、全て本心。

今までドラマってかなり極端な空想って思っていたけど、意外とそう言う訳でもないんだね。


根負けしたのか

「分かったよ」

そう言って、先生はコートを置いた。

「先生、好き!!」

ご機嫌な私に、苦笑いしながら先生は床に座り込んだ。

「今日だけだぞ」

なんて言う先生の顔が、少しニヤけてるのを見過ごさなかったんだからね。